待ちに待った久々の茅田砂胡さんの新刊です。
いつも楽しみにしているので、今回もワクワクしながら読ませていただきました。
上巻
一言でいえば、テオの料理がすごく美味しい!という話。
もちろん、既刊を読んでいれば重々承知していることではあるのですが、今回は店舗の改装中に、ホテルに場所を借り受け期間限定の営業をするというお話となります。
どれだけ手の込んだ料理を作っているか、また飾られている「暁の天使」の絵をどのように運んでいるか、他の美術品はどういうものか、などの説明にかなりページを割いている印象を受けました。
様々なお客様が訪れ、口々にテオの料理と美術品を称賛していくのですが、メインキャラクターはルゥくらい。
あとはリィとシェラが少し登場するくらいでしょうか。
最後の最後でやっとケリーが登場して、下巻へとお話は続きます。
正直に言えば、物足りなかったですね。。。
いや、いつも通りとても面白いんですよ。
会話のセンスや笑うポイントなどもきちんと押さえてるし。
でも、足りない。。
やはり、メインキャラクターの活躍が圧倒的に少なすぎるんですよね。
おまけに私の好きなヴァンツァーはもう数年ご無沙汰ではないでしょうか。。
それはさておき、下巻はケリーとジャスミンの大型夫婦も登場するようですので、どうしても期待が高まってしまいます。
下巻
上巻が料理のお話がメインでしたが、下巻も全く料理の話がないとは言えませんが、バラエティに富んでいたお話で面白かったです。
特に、副題のガーディ少年についての謎が物語後半で分かるのですが、こう来るか!という運び方で楽しめました。
物語序盤は、偏食な少女のお話から。
食が細い人っていらっしゃいますけど、私には無縁なので(笑)、理由が気になりました。
やはり食事は一人よりも誰かと食べたほうがおいしいですよね。
そんな心温まるお話の後には、暁の天使が強奪される、という事件が起こります。
ここでやっとリィシェラの出番!
さすがにかなりのページ数を割くほどのアクションではありませんでしたが、それでも二人の活躍を見るのは久しぶりで、胸が熱くなりました。
ルゥも重要な任務があるのですが、二人のようなアクションシーンはなし(笑)。
でも、やはり著者の描く天使や大型夫婦のアクションシーンは、思わず惹きつけられてしまいますね。
特にリィとシェラの場合は、デルフィニア時代からのお付き合いなので、久々の戦闘シーンはどんなに少なくても感動もひとしおです。
そうして、満を持して登場したケリーとジャスミン達が参加する慰労会。
前作の最後で依頼されたオークションで落札された美術品は、一体どんな使われ方をされたのか、かなり見物です。
さすがテオ(笑)。
登場人物が多すぎて、誰だっけ?と戸惑うこともありましたが、それほど困ることもありませんでした。
今回は、業者に加えてあの運送屋さん達も参加(笑)。
リィとシェラ、ルゥもスタイン教授と同じ席での会食となり、本当に温かい雰囲気の食事でした。
また、スタイン教授とテオの会話には目を見張るものが。
まさか昔出会っていたなんて。
その会話の内容に、テオにとってもスタイン教授が特別な人だったんだなと分かり、ガーディ少年の正体についても明らかにされ、本当に驚きました。
そして何と言っても一番の見所はルゥの歌声のシーンでしょう。
とある人物とスタイン教授でのやり取りは、夢か現かあいまいで、とても幻想的なシーン。
今まで謎とされていた秘密が明かされる会話のシーンは、グイグイと物語に引き込まれて、更に心が温まりました。
著者の茅田さんは、こういう話の持って行き方や、会話のセンスが物凄くうまいんですよね。
まとめ
当たり前ですが、上下巻ともテオの料理がメインです。
ですから、天使や夫婦のいつもの活躍を期待していると、拍子抜けしまいます。
でも、たまにはこういうお話があってもいいかな、と思えるほどユーモアに溢れ、また本当にお腹が空きました(笑)。
あとがきで、今年中にあと1冊書きたいと希望されているようでしたので、こんな状況だからこそ、楽しみに待ちたいと思います。