まったりのんびりほっこり

ゲームや読書などを中心に、日々感じたことを書いてます。

『薔薇十字叢書 ジュリエット・ゲェム』感想

 

久々に京極夏彦さんの百鬼夜行シリーズシェアードワールド作品を読みました。

 

こちらは敦子の女学生時代のお話です。

表紙だけ見て、少女向けのラノベめいたものなのかな~なんて思ってしまいましたが、戦時中の生活や学生生活、そして敦子や兄の秋彦などの設定もしっかりしており、私には齟齬が感じられませんでした。

 

今回はそんな『薔薇十字叢書 ジュリエット・ゲェム』の感想です。

 

 

戦時中の女学生生活

敦子の女学生生活ってどんなものなんだろう?という興味がまず先に立ちました。

女学校も秋彦の薦めで入った(しかも榎さんがらみ)らしく、敦子の強い希望ではなかったようですね。

また学生生活以前は、京都の千鶴子の和菓子屋で世話になっており、秋彦との生活は長くはなかったようです。

私的には、原作の千鶴子よりもこちらの千鶴子の方が親しみが持てました。

 

あの聡明で活動的な敦子の事だから、結構女学生時代には人気があったのでは?などと想像しましたが、こちらのお話では同室の先輩の方がインパクト絶大でした。

とても美しい先輩・紗江子と万里に気に入られ、事件に巻き込まれたりはするのですが、ミステリーとしては易しい方ではないでしょうか。

 

それよりも、戦時中の女学生の生活が私には大変興味深かったです。

戦況が厳しくなってくると、敦子の学校ではまだ制服でしたが、他の学校ではモンペを着させられたりしていたようですし。

実際の国民の感情も政府の政策とは離れている様子など、現実的な表現もありました。

それに何より、秋彦自体がすでにそういう性質ですしね。

 

原作登場人物

秋彦は冷静で落ち着いて現実主義は変わらないと言えば、変わらなったような気がします。

原作では、戦時中どこぞのマッドサイエンティストの研究所に配属されたはずですが、この頃はまだ招集されておらず、ちょうどその招集をきっかけに敦子が退学を余儀なくされることになります。

 

また、榎さんは文字通り榎さん(笑)。

今作で初めて敦子に出会ったようで、可愛い発言はこの頃からなのかなどと妙に感心してしまいました。

それにビスクドールのような容姿は変わらないはずですが、敦子にはそれほど響いてないのにもさすが敦っちゃんと(笑)。

 

まとめ

シェアードワールドとは言え、原作に則って書かれているので、それほど違和感はありませんでした。

むしろ、敦子の女学生時代が垣間見られて楽しかったですね。

それに千鶴子が優しくて、本当にいい人。これなら秋彦の嫁になっても納得と、自然に感じられました。

 

出る出ると言われ続けてもう〇年の百鬼夜行シリーズ。

そろそろ新作を読みたいですが、こういうパラレル物も読んでみると、意外と発見があって面白いかもしれません。