まったりのんびりほっこり

ゲームや読書などを中心に、日々感じたことを書いてます。

『ぼんくら陰陽師の鬼嫁 四』感想

 

テレワークが当たり前になってから、読書の時間が大分減りました。

今までは通勤時間を読書の時間にあてていたのですが、コロナで出社の機会が大分減ってしまったため、せっかく購入しても中々読めず。。

 

そんな中、以前Kindle Unlimitedでダウンロードしていた『ぼんくら陰陽師の鬼嫁』シリーズを読んだところ、ものすごく面白くて有料版も購入してしまいました。

 

今回はそんな『ぼんくら陰陽師の鬼嫁 四』の感想と魅力を綴らせていただきます。

 

 

簡単なあらすじ

出張祈祷に出かけた芹たちは、突然の大雨で近くのオーベルジュに一泊することに。

ところがそこではある心霊現象が起きており、皇臥の知り合いが降霊会を行う予定だったとのこと。 

 

昔、北御門家の内弟子だった薙子と、その弟の奏多も霊能力者として登場し、北御門家の過去の事情も徐々に明らかになっていきます。

 

特に弟の奏多は、飄々としてチャラ男のような話し方なのですが、どことなく憎めないキャラクター。

ですが、北御門家に対して何やら含むところがあるらしい。

 

一方姉の薙子は、皇臥と出会った当初はぎこちなかったのですが、段々と芹と打ち解けて、2万円のパンツをさらっと芹にあげてしまうくらい、ざっくばらんな性格が顔を除かせます。

 

ところが、このオーベルジュで心霊現象を起こしている、以前のオーナーの息子が芹に憑りついてしまう事態に・・・。

 

今回は心霊の怖さは鳴りを潜め、子供の母を思う気持ちと芹の気持ちががうまいことリンクしたストーリーとなっておりました。

 

悪霊ではないので、割と安心して読めたのですが、どうにも切ない気持ちでいっぱいになりましたね。。

 

最後は奏多に花をもたせる形で丸く納めた皇臥。

 

霊能力者としては「ぼんくら」な皇臥だけど、こういうところは卒がなく潔い。

むしろ男らしいのに、芹に対しては拗ねたりするのがなんとも微笑ましいなと思いました。

 

『ぼんくら陰陽師の鬼嫁』の魅力

表現力のある読みやすい文章

まず最初に思ったのが、文章が読みやすいというか、この著者さんの文章と波長が合うな、ということでしょうか。

作家さんによっては、読みにくくて中々先に進めなかったり、表現の仕方が合わなくて途中で読むのをあきらめてしまったりすることもあるので。。

 

あとがきを読むと、どうやらグループSNEに所属されているとか。

昔はこのグループの方の本が好きでよく読んでいたので、懐かしさとともにどうりで文章がこなれてるはずだなと納得しました。

 

するすると先に読み進めてしまいたくなるくらい面白い展開であり、背景や情景、またキャラクターの微妙な心理も丁寧に描かれており、それでいてきちんと頭に入ってくる。

上手いんですよね。本当に。

 

魅力的な登場人物

また、「ぼんくら」とひどい言われよう(笑)の芹の夫である皇臥。

「ぼんくら」と言えど決してオツムが足りないと言うわけではなく、むしろ聡明で己の分をわきまえており、他者を気遣う懐の深さもあります。

 

ではなぜ「ぼんくら」なのか。

それは陰陽師のくせに式神使いの能力しか長けていないから。

なので、お祓いや退魔などの呪術系の仕事はほとんど受けておらず、家計が厳しいという体たらく故なのです。

 

そんな皇臥のところに、のっぴきならない事情で嫁いできた芹。

鬼嫁と言えば、北斗晶さん(失礼)を思い浮かべてしまいますが、全然違います(笑)。

 

天涯孤独だった芹は、苦労人だけあってお金の管理にはシビア。

ぼんくらな旦那と家庭を、義母と一緒に支えています。

皇臥に対してキツイ態度や言葉を使っても、本音は相手を思いやっているのがわかる。

どちらかというと、照れくささでわざと素っ気ない態度や言い方をしてしまう感じでしょうか。

 

式神の護里と祈里を可愛がる様子は、本当に優しさに溢れていてとても微笑ましいです。

 

そんな芹が好きなのに、強引なことはせず暖かく見守り、守るときには背にかばったり慰める時には軽く触れたり。

 

芹もそんな皇臥に好意を持っているのがわかるものの、照れくささが先に立って素直にその気持ちを表せなかったり、その場をそっと逃げるように離れたり。

 

まどろっこしいけど何とも心地よい関係が描かれています。

 

今作では二人の関係も段々と近づいてきて、本当の夫婦になる日もそう遠くないのかな?と期待していまいますが、今の関係性が好きなのも確かなので、温かく二人を見守っていきたいです。

 

また、よくある嫁姑の関係性も描かれていますが、こちらの義母さんが何とも言えないキャラクターで(笑)。

芹に対していじわるするものの、育ちの良さのせいか元々の性格の良さのせいか、可愛らしいんですよね。

芹との関係も、程よくケンカしながらもお互いに思いやっているのがわかるから、その当たりの微妙なさじ加減の描き方がひたすらうまいなと感じました。

 

今作は母親というキーワードが重視されているので、芹のお義母さんに対する態度の変化も見ものです。

 

そして皇臥に弟子入りしてきた、芹の大学の後輩である八城くん。

彼も独特の味を醸し出していて、すっかり北御門家に馴染んているところがさすがだなと。

北御門家に滞在している人間の中では霊感が一番優れているのですが、それが当たり前なので心霊現象にあっても動じず、もしかしたら一番頼りになる存在かも??

 

式神も個性豊か

皇臥はぼんくら陰陽師ですが、式神使いの能力だけは優れていて、北御門家には多くの式神が存在しています。

 

思わず撫でたくなる双子の玄武の護里と祈里。

そのモフモフの毛皮にうずもれたくなる白虎の珠。

義母についているゴスロリの天后のテンコ。

自分の姿にコンプレックスを持っている朱雀の錦。

小柄な老婆姿で、本宅の家事を取り仕切っている太陰の律。

そして家令のようなたたずまいの美髭のイケ老紳士の貴人・伊周。

彼の式神の姿は、ぜひ読んで確かめてほしいです。

 

これらの面々が北御門家の人々と一緒に生活をしており、なんとも賑やかで時には癒され、時には頼りになる魅力的な式神たちなのです。

 

まとめ

ますます賑やかになってきた北御門家。

まだ登場していない式神もいますし、芹と皇臥の関係性の変化も気になるところ。

今後の展開にもますます期待が膨らみます。