「ALTERNATIVA」の中で誰か一人の攻略をクリアすると、制限が解除されてようやく「HENRI」ルートに進めます。
無印であれだけの騒動を起こしてしまいましたが、日々罪の意識を忘れることなく表面上はリリィと孤児たちと平和な生活を送っていたアンリ。
とある出来事をきっかけに、再びブルローネへ戻るところから物語が進みます。
無印ではディレットーレとしての面が強かったアンリの、心の内面や葛藤が垣間見られる今作。
その感想を綴らせていただきます。
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※若干ネタバレがありますので、読まれる際はくれぐれもご注意ください。
Episodio 1926 -HENRI-
先にも述べましたが、「HENRI」ルートに進むためには少なくとも「ALTERNATIVA」を一度はクリアしないと進めません。
ですので、同じように感じている方も多いと思いますが、敢えて一言。
「これ、本当に乙女ゲー?」
今作の犯人、残忍さと狂人さが桁外れ過ぎて、ピオフィ史上最強かも。
というか、乙女ゲーム史上最低最悪では??(私が知らないだけかも知れませんが・・・)。
とにかく、ゲスさと外道さが群を抜いていて、テオや袁が可愛く見えるほど。
アンリが真似ていた「ディレットーレ」そのまんまというのもうなずけるほど気が触れているお方です。
何しろ今作では、猟奇的な事件が断続的に起こります。
無印でも今作でも、相変わらずバイオレンスな描写は当たり前にあるのですが、それとはまったく種類の違う、生理的に受け付けられないような嫌悪感がちらほらと。。。
ですので、こういうのが苦手な人はダメかもです。
私はもともと横溝正史やその手の小説は苦手なのですが、今回はそれほど直接的な表現がなかったのと、挿入されるイメージ画像もデフォルメされたりしていたので、割と平気でした。
ですがとある出来事が、島田荘司の「占星術殺人事件」を想起させて胸糞悪くなりましたけど。。※余談ですが「占星術殺人事件」はミステリー小説としては傑作でした!
そんな犯人ですが、とにかくアンリにご執心。
まぁ、過去の出来ごとのせいもありますけれどイカれているので、彼なりの理屈でアンリに執着しています。
そして、アンリに関わる人たちを傷つけ初め、最終的にはリリィはもちろん、ブルローネマフィアも標的にされてしまいます。
ただ、そこはさすがに元ディレットーレのアンリ。
先読みの能力や戦略的思考に優れていることもありますが、自由に動かせる人材も確保しており、ダンテ達にとっては「敵にすると恐ろしいけど、味方になると頼もしい」人物となっています。
当然、ブルローネに戻ってくるにあたり、ダンテやギルバートと最初に話をするのですが、アンリの元々の誠実な人柄と紳士的な態度、あとはブルローネマフィアたちの性格によって、段々と協力体制を築いていくのが何とも小気味好い!
そんな彼ら達と協力をしながら、犯人とのケリをつけるためにアンリが奔走します。
この犯人、イカれてはいますが、教国と政府と裏でちゃっかり手を組んでいるのですよね。なので一筋縄ではいかないのです。。
とは言え、基本的な流れは途中までギルバートと大団円を踏襲しているので、マフィアの会合にはコメディ要素が健在。
特に、鍵の乙女の資格に関するやり取りで、楊に対するニコラの
「うわ・・・。前から思っていたけど・・・。君、本当に馬鹿なんだね?」
には爆笑してしまいました。
こんなやりとりが随所にあって、暗澹たる惨劇もこのおかげで一掃されるくらい賑やかです。
また、このルートで見逃せないのがアンリと二コラの関係。
もともと幼いころに短期間ではあるけれど交流していた二人。
そのせいか、二コラはアンリに対してかなりからかうような言動が目立ちます。
アンリは面白くなさそうですが、、、。
リリィがある時、「アンリの話し方が二コラに似てる」と指摘する場面があるのですが、それを裏付ける会話とスチルが絶賛もの!
このCGコメントでは、アンリが二コラの事を「今は随分ひねくれた大人に育ってしまったけれど、お互い様か」と言うセリフに笑わせられ、続くコメントでは親愛の情も感じました。
まさに幼いころのアンリと二コラ(特に二コラ)が天使のようです(笑)。
他にも例にもれず、アンリのスチルもどれも彼の魅力が詰まっているものばかり。
無印ではディレットーレだったため、なかなかその内面までは表現されていませんでしたが、今作では彼の穏やかで紳士的な態度や誠実さばかりではなく、色っぽさや意外な内面も表現されていて見どころ満載です。
そんなアンリですが、ベストエンドへの道のりは遠くて長い。。。
アンリルートは中途BADの数も多いので余計にそう感じました。
とにかくアンリの罪の意識と自己評価が低すぎて、じれったくてもどかしい。
リリィが頑張って自分の気持ちを伝えてる姿が本当にいじらしく、それでも頑なにリリィを受け入れられないアンリをどつきたくなりましたね(笑)。
そんなリリィ(と私)を焦らすだけ焦らしてようやくアンリがリリィに触れる決心をします。
「リリィが鍵の乙女の資格を持っていると、ファルツォーネにとっても都合が悪い」という事情があるせいなのですが、なによりもアンリがリリィに根負けした感と、アンリの限界が合わさって相乗効果が生まれたよう(笑)。
その事後の事務的な報告を、明るく茶化すように話すニコラと、それを内心「俺なら絶対したくない」と思いながら冷静に聞くダンテに、またまた笑わせてもらいました。
とはいえ、それからのアンリがこれまた甘い。ニコラ並みに甘いです(笑)。
ニコラは自分も相手に甘えるという余裕がある慣れがありますが、アンリはとても紳士的な気づかいと優しさで大人の余裕。
吹っ切れたせいもあるのでしょうが、今まで抑えていた感情を抑えなくなった分、本来のアンリが顔を出したんでしょうね。
そんなアンリもまた魅力的で素敵なんですよね。
そうしてやっと訪れたリリィとアンリのエンディングは、二人の何気ない日常の様子が描かれ、穏やかで幸せな生活を送っているのが伺い知れるものとなっております。
スチルも二人が本当に幸せそうで、心から良かったと感動しきりでした。
一方、公式ブログさんでも、BADしんどい順で第1位に輝いただけのことはあるアンリのBADエンド。
本当に最後にプレイするのはおススメできません。。。
他のキャラクターのように、当人同士だけがBADで終わるものではないので。。
BADエンドに進むとき、ある予感がありました。
ありがちですが、リリィが例の繋ぎの贄にされるのかと思ったんです。
もしくはアンリが殺されるパターン。
ただ、私のへっぽこな予想を遙かに上回る重く救いのない結末に、心が折れました。
こういう展開って今まであったっけ?
あの無印のオルロックと同等か、人によってはある意味それよりしんどい結末かもしれません。。
これを見た後、とっとと気持ちを切り替えてBESTエンドへ直行したのは言うまでもありません。
事前情報でアンリだけ特別なルートだと知って何故他のキャラクターと違うのだろう?と不思議だったのですが、クリアした今なら納得できます。
アンリへの執着が強い犯人の異常性もさることながら、頑なに自分を責め続け十字架を背負って生きる覚悟をしているアンリが、リリィを受け入れて幸せになるまでの過程が、本当に丁寧に描かれています。
「BURLONE」をプレイして率直に「意外とシナリオが短いな」と感じました。
全体的にボリュームのあるゲームであるということもありますが、両想いになってからのストーリーが前提なので、ある程度シナリオを絞ったのかな?と。
そういう意味では、アンリはどうしてもこれだけの長さのシナリオが必要だったんだなと理解できました。
無印では正直リリィの気持ちについていけなかったのですが、アンリルートをプレイすることで、彼の魅力が存分に伝わってどんどん好感度が増し、リリィの気持ちも理解できた気がします。
また『Episodio1926』でも、私の中では二コラが一番なのは変わらないのですが、2番手以降はプレイする度にどんどん入れ替わってしまうほど、どのキャラクターも魅力的で、アンリも例に漏れませんでした(笑)。
それだけ、アンリの今まで知らなかったり新たに表現された魅力が多かったのだと思います。
次はようやく「ALTERNATIVA」をじっくり進めようと思います。
宜しけれまた次回もお付き合いいただけますと幸いです。
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