まったりのんびりほっこり

ゲームや読書などを中心に、日々感じたことを書いてます。

『バチカン奇跡調査官 王の中の王』感想

 

既に新刊がでているにもかかわらず、その前の巻をようやっと読了しました。

kindleでちょくちょく購入しているのですが、私の読書スピードが追っつかない。。

どうにも、「新刊が出る→前作を読む」とうい作業の繰り返しになってしまいますね。。

 

新刊を読む前にはやはり前作を読まねば!ということで、今回は『バチカン奇跡調査官 王の中の王』の感想を綴らせていただきます。

 

 

※若干ネタバレしておりますので、読まれる際はくれぐれもご注意ください。

オランダのうんちくに詳しくなる!?

今回の奇跡は、オランダ第四の都市ユトレヒト、聖ファン・クーレン教会で起こります。

なんでも、キリスト像の周りに光り輝く球体が現れ複数の人間が奇跡体験を得たり、おそらくキリスト像のものであろう金色の足跡も見つかったりしたとのこと。

そして元々この教会には古くから伝わる聖釘という聖遺物もあり、こちらの鑑定もすることになります。

 

ですが、冒頭では 「早速調査!」とはいかずに、休日の朝、ロベルトが気持ちよく朝食の食材を買いに街に繰り出したところ、平賀のゴミ拾いを目撃する羽目に。

どうやらペットボトルなどのゴミ分別による環境問題に目覚めたようで、なんとシン博士も早朝から3時間ほどゴミ拾いに巻き込まれたとか(笑)。

 

こういう平賀の行き過ぎた純粋な正義感が周りを巻き込んでいくのが面白いのですが、ロベルトの嫌な顔一つせずに平賀に付き合う姿には、いつもほっこりしてしまいます。

 

この環境問題のほかにも、オランダのプラスチックリサイクル素材利用率や、ドラッグ事情、様々な歴史など本当に詳しく説明がされていて、「チューリップと風車」しかイメージのなかった私の貧弱な知識がかなり広がりました。

 

いつもながら、著者の情報収集能力と素材の活かし方には脱帽させられます。

そして当たり前ですが、奇跡調査でもその能力は十分に発揮されています。

 

奇跡の科学的調査

今回、主に3つの調査を進めて行くことになります。

・聖釘の調査

・光り輝く球体の調査

・黄金色の小さな足跡の調査

 

いつものごとく、平賀は科学技術を駆使して調査を行い、ロベルトは歴史的背景などの調査に回ります。

 

お互いがそれぞれの調査を進めていく内に、段々と糸口がつかめていく過程がやはり秀逸で面白い!

 

特に今作では、聖釘に関する調査が私にはとても面白く、聖釘の元々の持ち主であった人物や、その時代背景など大変興味深く読むことができました。

「ギルド」なんて聞くとRPGゲームを思い出してしまう私ですが、中世のヨーロッパでは当たり前の組織だったんですよね。

 

また平賀の科学調査も、相変わらずの膨大な知識量で(笑)、いつも勉強になります。

光り輝く球体の発生が、特定の条件下で起こりうる可能性があるなど、著者は本当によく調べているなと感心しました。

 

奇跡体験も然り。

多くの人間が体験したとういう奇跡体験も、科学的な証明がなされます。

 

ですが上記とちょっと毛色が違うのが、黄金色の小さな足跡。

こちらは猿人や原人しか持ちえない特徴のようで、調査を進めるうちにその正体が徐々に判明していきます。

夜中に教会の窓から光る物体を見たなどの目撃情報や、教会に盗聴器が仕掛けられるなど、なにやら怪しい出来事も発覚し関連している模様。。

 

そしてローレンの介入。

 

う~ん、これに関しては正直ちょっとどうかな?と。。

いや、ローレンは好きなのでもっと登場して欲しいのですが、ローレンのもたらした情報が、ロベルトに対しての謎解きになっているとは言え、読者にとっては多少チート気味な解答のような。。

「え?そんな人、今まで出てきてたっけ?」みたいな感じでしょうか?

単純に私の読解力不足のせいかもしれませんが・・・。

 

とは言えこのローレンの介入で得られた情報もまた、うんちくが盛りだくさん!

興味津々で引き込まれてしまいました。

 

特にオランダと言えばチューリップと言われるようになった事情などとても興味深く、更にこのことが物語の根幹となる部分に関わっているのにも驚かされました。

まさに「なるほど!」です(笑)。

 

事件解決後、平賀の強い希望でミッフィー博物館とセントラル・ミュージアムに立ち寄った二人。

ミッフィーがオランダ産(笑)なんて知りませんでした。

そして、ここで明かされたミッフィーとロベルトの意外な共通点。

とても微笑ましくてチャーミングな終わり方に、思わずニッコリしてしまいました。

 

 

まとめ

今回も科学調査や、いろいろな情報や知識が盛りだくさんな内容で、とても読み応えがありました。

そして、環境問題など考えさせられる部分も。

おそらく著者も読者に対して意識して欲しいんだろうな、と感じましたし、私自身ももう少し真摯に受け止め、出来ることから始めようと思いました。

 

副題の『王の中の王』とは一体何なのか。

当時のヨーロッパに思わず心を馳せてしまい、ロマンを感じずにはいられない、そんな物語でした。

気になる方はぜひご自身で確かめていただければ幸いです。 

 

ここまで読んでいただきどうもありがとうございました。