まったりのんびりほっこり

ゲームや読書などを中心に、日々感じたことを書いてます。

『遺跡発掘師は笑わない まだれいなの十字架』感想

西原無量の遺跡発掘師シリーズ第3弾。

今回も先が気になって一気に読み進めてしまいました。

 

遺跡発掘現場で捏造発覚

今回の発掘現場は長崎県島原。

ここは天草四郎で有名な島原の乱が起こった場所で、遺跡からはキリシタン由来の遺物のほか、多くの人骨も発掘されます。

そんな中、無量が指導することになったミゲルというハーフの青年が、十字架を発掘します。

実はこれは捏造だという事を無量が見抜いてから、殺人事件が起こり無量達が巻き込まれていきます。

 

今回も無量達は危険な目に会ってハラハラします。

無量は攫われるし、忍は刺されるし。。

萌絵だけは活躍するのですが、結局最後は人質に。。

 

いつもの展開といえばそうなのですが、ただ無量が捏造を迫られるシーンは、本当に胸が張り裂けそうでした。。

 

ミゲルの起こした捏造はある人物からの指示だったのですが、なぜそれが必要だったのか。

また捏造に使われた十字架は一体何なのか。

江戸時代から第二次世界大戦終戦前、そして昭和40年代の学生運動という、それぞれの時代で起こった出来事が複雑に絡み合っていきます。

 

こんな一件なんの関係もなさそうなものをよくまとめたな、と思うほど。

キリシタンの虐殺に端を発し、その関連アイテムが戦時中に和平交渉の切り札となり、そうして学生運動へと関わっていく過程が違和感なく丁寧に描写されています。

 

宗教弾圧はどの時代もどの国でも起こっていますが、作者の圧倒的な筆力で描写されると辛い。。

また学生運動では、当時の大学生と現代の大学生の精神的な面での違いを痛感せずにいられません。。

 

そうして起こるべくして起こった事件の解決には、安堵の面もありますが、物悲しさも漂います。

 

どうなる?3人の関係

気になるのは無量の幼児化(笑)。

シリーズ1巻と比べると、言動が段々幼くなっているような・・・?

まぁ、少年時代にあれだけの過酷な経験をして、同世代との付き合いはほとんどないであろう化石の発掘をし続け、やっと心を許せる忍と萌絵の存在が、無量を幼くさせるのだろうなと思います。

 

萌絵が捕まって縄を解いた後、抱きついてきた萌絵に対して数瞬固まったというくだり。

どうしていいか戸惑って、そしてぎこちなく抱きしめ返したっていうのは、無量の純粋さが現れていてとても微笑ましいですね。

武闘派の萌絵も実はか弱い女の子だとわかってくれたのかな?

 

あれ?これと似たようなシチュエーションをつい最近リアルな描写で見たような・・・と思ってたらFF7リメイクのクラウドだった(笑)。

クラウドと無量はちょっと似ているかも?

 

他にも、萌絵がミゲルから告白されたと聞かされた時の「OKしちゃったの?」というセリフ。

「OKしたのか?」もしくは「したのかよ?」ではなく、「しちゃったの?」って(笑)。

21歳の青年が言うには幼く感じますが感じますが、無量が言うと素直で可愛い。

ただこんなに純粋な無量が、この先年齢相応の恋愛感情を抱くことができるようになるのかな〜と心配と興味が(笑)。

いだくとしたら相手は萌絵しかいないだろうなとは思うんですけど、忍の可能性もありというか大??

 

忍も辛い過去があるので陰があるのは仕方ないのでしょうが、あまり苦しんで欲しくないな。。

忍にも幸せになってほしいです。

何だかんだいっても、無量と萌絵がじゃれあっているのを、忍が微笑ましく眺めている関係が一番居心地がいいですね。

 

 今後もどんな遺跡を発掘するのか、また3人の関係はどうなるのか、目が離せそうにありません。